有岡会計事務所は日本一親切な会計事務所を目指します。

日本一親切な会計事務所を目指します。

私達はそのために必要な知識の向上と人的ネットワークの構築、クライアントのニーズを的確に感じとる豊かな感性と人間性の向上に努めます。

コラム「税務調査は心理戦(前)」

税理士業は、経営者の方々から経営上の問題を色々ご相談頂き、一緒に解決を考える機会の多い非常にやりがいのある仕事だ。実務面でも色々調べる中で、税務以外に広く浅く色々な知識が増えていくので、大変勉強になる。ただ、当然楽しくない仕事もある。その代表は何といっても「税務調査」だ。

会社に税務調査で訪問してくる税務署員は、顔には出さないが、自分の成績や評価が絡むので、内心は結構必死である。どの会社でも、調べていくうちに「見解の相違」的なものは何かしら出てくる。結局ああだ、こうだと理屈のこねあいになり、緊張も高まるし、血圧も上昇する(実際にその場で測ったことはないが)。

会社での調査が終了しても、銀行や取引先へ調べに行く場合もあるので、決着がつくのに一か月以上かかることも多い。この期間は、想定される指摘事項の反論 を考えたりと、気分的に落ち着かない。思えば、税務調査は、「良くても引き分け」という非常に分の悪い戦いである。調査を受けている経営者の方も辛いだろうが、税務の代理人である立場の税理士にとっても、ストレスの非常に溜まる仕事なのである。(つづく)

コラム「税務調査は心理戦(後)」

ストレスが溜まる税務調査だが、それでも長年調査に立ち会っていると、税務調査員の心理状態というのも透けて見えてくる。結局のところ、彼らは公務員なので、追徴を取ったとしても、特に実益があるわけではない。もちろん昇進というニンジンはあるが、今の若い調査員はそれほど上昇志向も強くないので、「上司に低い評価は付けられたくない」「与えられているノルマさえこなせば良い」程度の感覚である。

そのため、税務調査のスタート時は調査員も緊迫感を漂わせているものの、ある程度追徴が取れそうな事案が見つかれば、結構ユルイ雰囲気に変わっていく。もちろん悪質な経理操作が行われていれば別だが、見解の相違の範囲での争点なら、途中で言い合いになっても、折り合いの目途がつけば、それ以上のゴリ押しまではしてこない。「色々案件を抱えているから、早く終わらせたい。」というのが本音だろう。

つまり、「早く終わりたい」という点ではこちらと利害が一致しているので、これを上手く利用できるかが、税務調査を円滑に終わらせるポイントだ。よく言われる「おみやげ」などもその辺りの心理を突いた作戦のひとつというわけである。税務調査は、経営者にとっても、税理士にとっても避けられない仕事。連携して、上手に乗り切るようにしたいですね。

コラム「国税通則法改正(前)」

確定申告が終わると、「そろそろ落ち着かれましたか?」と聞かれることがある。「だいぶ落ち着きました。」と笑顔で言いたいところだが、突然エネルギーを大きく取られるイベント?が発生することがある。それは税務調査だ。

税務署職員の異動時期は他の官庁と違い、7月。従って7月からが新年度ということになる。そのため税務調査が一番本格化するのは、秋頃だが、確定申告が終わった4月~6月も結構多い。税務調査があると事前準備や当日の立会い、さらに修正申告書の作成などに時間がかなり大きくとられてしまう。確定申告が終わったので、少しゆっくり・・・というわけにはいかないのである。

しかも平成23年の税制改正で、税務調査の手続きを決めている「国税通則法」という法律が大きく変わった。実は改正前は、調査開始から終了まで結構手続きがあいまいだった。電話連絡があってから、現場での調査、そして最終決着までの過程が明記されていなかったので、現場の慣習のような形で税務調査は行われていたと言っても良い。それが「国税通 則法」に明記されたおかげで様々な変化が起きることになる。

コラム「国税通則法改正(後)」

「国税通則法」改正で税務調査の流れは大きく変わった。たとえば税務調査連絡。「今回は平成何年から何年までの調査になります。調査税目は・・・」と詳細に説明してくれる。これまで、原則は「過去3年分の調査」という暗黙の慣習のようなものがあったから、そうした説明は一切なし。最初は何となくとまどったものだ。

税務調査終了時も、以前は修正項目がある場合は、修正申告を出してしまうことで終了だったが、今は事前に「修正申告を出せば、不服申し立てをすることは出来なくなります。」という念押しの文章による説明がある。税務署側からすると、説明したくない不利な情報を文書で渡すわけだから、これも以前では考えられなかった手続きだ。

このように直接対面していても、手続きが厳格になったなあ、と感じることが多いが、署内でも同様に手続きが煩雑になっているようで、明らかに調査期間が延びている気がする。たとえば以前なら2週間で終了していたものが、3週間はかかるといった感じだろうか。実際、統計を見ても、平成23年頃12.9万件あった税務調査件数が、平成26年には9.5万件にまで減少している。

つまり従来より手続きに時間がかかるため、調査件数は減少しているが、一度調査に来ると調査期間が延びて、なかなか終了しないといううれしくない方向に変化しているようなのである。税理士にとっても経営者にとっても税務調査はいやなもの。早く終わって欲しいものだが、法律改正のせいで、調査期間が伸びてしまったのは有難くない話だ。手続き厳格化は仕方ないとして、調査期間は短く、早めに終了でお願いしたいものである。

コラム「税務署員の移動時期」

7月某日、税務署から電話がかかってきた。内容は税務調査の連絡と納税者との間の日程調整のお願いである。「(税務署)調査日程は2日を予定していますので、よろしくお願いします。」「(私)わかりました。」そう言って電話を切る。その後、納税者と連絡を取り、日程調整、更に必要書類や、当日の注意点などの打合せをした。

税務署は、他の官庁とは違い、部署の異動月が7月である。つまり、7月がスタート月と言って良い。税務調査の多い月と言えば、9月~11月あたりと確定申告が終わった4月~5月あたりであるが、成績の対象になるのは、12月までに行われた仕事であるし、人事も春先には決まっている。9月~11月の調査の方が調査員の戦闘意欲は当然強い。税務署側の内情を明かせばそういうことになる。

税務署員の成績は、数字という目に見える形で出てくる仕事である。そういう意味ではノルマを課された営業マンのような立場である。調査を受ける側は、そういうやっかいな相手と対峙することになるのだ。今回も厳しい調査になるだろうが、納税者と連携をうまくとり、上手に乗り切りたいものである。

コラム「反面調査」

5月某日、東大阪税務署から電話がかかってきた。用件は私の顧問先から預かっている資料の中で、A社の請求書を見せて欲しいということだった。顧問先には既に了解を得ていて、そのために私の事務所を訪問させてもらいたいという。

これは反面調査という税務調査の手法の一つである。調査の対象会社はあくまでA社であって、私の顧問先ではない。A社の税務調査の中で帳簿や証ひょう類に不備があったり、会社の説明があいまいなどの理由で、「どうもこれは怪しい取引ではないか?」と疑問を持たれた場合に、その取引先の会社に出向き、その資料との整合性を見て、取引の実態を確認する目的で行われる。

今回は顧問先が、請求書類を私の事務所に預けていたため、その資料を見るためにわざわざ東大阪から私の事務所にやってくるということになったのである。資料はすぐ見つかり、調査官も納得したようで、15分程度で引き上げてくれたので、ほっとした。

反面調査は、税務運営方針上は「客観的にやむを得ないと認められる場合に限って行う」と定められている。しかし現実には調査官の主観で行われることが多いようである。また反面調査は取引先だけでなく、銀行にも行われることがある。隠し預金がないかや経営者個人の通帳を確認する場合などもある。銀行などへの反面調査は、その会社の信用にもかかわることにもなるので、実害がある話となる。痛くもない腹をさぐられることにもなるので、安易に行って欲しくないものだ。

コラム「風変わりな調査官(前)」

昨年11月、クライアント様から電話があった。内容は、税務署から税務調査のため訪問したいと連絡があったとのこと。税理士が委任状を出している会社の税務調査の連絡は、税理士を通すルールになっている筈だ。それなのに税務署から直接連絡があったと聞いて、少し驚いた。

さらに話を聞くと、クライアント様の得意先であるA社が今回の調査の対象会社だということ、クライアント様の会社はあくまでA社との取引を確認するために訪問する「反面調査」に過ぎないということがわかった。ただ反面調査であっても税理士に連絡するというルールは同じである。

「なぜ税理士に連絡してこなかったんだろう?」疑問を感じながら、事前準備のためクライアント様の会社へ。「A社の社長によると、『メールを見せて!カバンを開けて中身を見せて!』と手を伸ばしてくる強引な調査官だったそうですよ。」なるほど、そういうタイプの調査官か。昔より少なくなったとはいえ、今だに強引なやり方をする人はいるものである。これはタフな税務調査になりそうだと身が引き締まる思いがした。

コラム「風変わりな調査官(後)」

クライアント様の事務所で待っていると、時間通り13時過ぎに調査官がやってきた。事前に「変わった調査官」と聞いていたが、物腰は意外にもソフトだった。

だが、「パソコンのメールを見せてください。」までは良かったが、「A社社長とのスマホのライン履歴を見せてほしい。」と言って手を差し出してきたので、これはさすがに拒否した。税務署が日常行う任意調査の権限は、税法条文にも「犯罪捜査を行うために認められたものと解してはならない。」とはっきり書かれている。国税庁が裁判所の令状を根拠にして行う強制調査とは全く違うものなので何をしても許されるというわけではない。ただ、調査官の中にはそのことを理解した上で、わざと強い姿勢を取ってくる人がいるのだ。今回もそう言ってきたものの、当方が拒否するとそれ以上は要求してこなかった。

結局、調査目的は「A社とのある一つの取引の計上時期の問題」だった。それだけのために半日も時間をかけたのには少し呆れたが、帰り際に「場合によっては、もう一度訪問させて頂くかもしれません。」と言い出したので、さらに呆れた。税法の条文には、調査は「必要な範囲内で」受忍の義務を負うと書かれている。一つの取引のために半日も時間をかけ、更にもう一回時間を取れというのは納得がいかない。「社長もお忙しいから、もうこれで終わりにして下さいね。」そう主張しておいた。

結局その後、調査員からの連絡はなかった。何度も税務調査を受けていると、クセの強い調査官に当たることがあるものだ。まあこれも人生勉強だと思うことにしよう。

コラム「ネット販売」

クライアント様から「サラリーマンの友人に税務署からお尋ね文が届いたので、相談に乗って欲しい。」という連絡を頂いた。「自宅で不要になった小物類をネットで販売していたが、最近は副業としてネットで購入した商品を販売するようになっていた。」のだという。

近年はこうしたネット上での取引対策のため、国税局に電子商取引専門のチームが作られている。相談者の方はしだいに取引回数が増えてきたこともあり、「お尋ね文」が送られてきたということらしい。

日常生活に使う小物類の売却であれば、所得税はかからない。ただし、「売却目的で購入した商品」を売った場合は、課税対象となる。つまり、納税義務が発生するわけだが、一方で年間の利益が20万円であれば申告は不要という特例制度もある。今回詳しくお聞きしたところ、「取引回数は多いが、損をした取引もあるので、年間では20万円も儲かってはいない。」ということだった。

「今回は大丈夫ですが、今後は申告が必要になる場合もありますね。」と回答させて頂いた。ネットでの販売を副業にされる方も増えてきそうだが、取引回数が増えれば、突然「お尋ね文」が送られてくることがある。「税務署は色々な方面に目を光らせている」という一例でした。

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